求めない練習 絶望の哲学者 ショーペンハウアー 著者 カン・ヨンス
この本の魅了を綴りたいと思います。発売日2025年11月5日で、元は韓国で出版され60万部を突破する社会現象となり、韓国の有名人の愛読書として人気を博しています。
内容はタイトルにもある19世紀の哲学者ショーペンハウアーの思想をベースにした本です
読む価値があるのは、今の世の中で苦しむことの多い「欲」との付き合い方が学べる点だと思います
現代の欲とは、資本主義社会の生み出す天上知らずの競争社会や、インターネットの普及から始まりSNSなどによる過剰な承認欲求の疲れ、求める対象が※情報の過剰により多くなっているのが現状です。
<※現代人の1日に触れる情報量はわずか1日で江戸時代の1年分、平安時代の一生分に匹敵するとも言われています。>
人間は欲望の生き物です、次々と湧き起こる欲望を重ねるが、欲望は尽きることはない、何かが足りないと思う、そして手にいれる、しかしまた次の足りないものを求めては手に入れようと繰り返す。これさえあれば完璧なのにと、今あるものを無視してまた遠くのもの追い求める
この繰り返しは欲に飲まれる愚かな姿だ、幸福は手に入れた瞬間のみでそれ以降は次第にまた次の欲望へと欲求の意識は向いてしまう。
欲望についての性質は人間のもつあらゆる欲に当てはまります。
物に対して、人間関係の中、社会生活の中で自分から湧き起こる欲は常にあります。「高価な物が欲しい」、「人には自分の言う通りに動いて欲しい」、「出世がしたい」。さらにこれらの「欲」からあらゆる対象に「求める」と言う行動が伴います。そしてこの「欲求」の中には「期待」も含みます。その結果得られなかった欲は期待外れの落胆を味わうことになる。
この欲する・求める(期待する)・落胆する、を繰り返すのは非常に疲れますね。ならば最初から求めなければ落胆することもないだろうと言うのがショーペンハウアーの考えです。
新しいものに対する好奇心は、外的なものに幸福の価値を置くことから生じる。新しい出来事、新しい品物、新しい人などに絶えず興味を持つのは、自身の内的な幸福度が足りないからだ。 求めない練習Kindle版 P50
ショーペンハウアーはペシミズムです。ペシミズムとは悲観主義のことですが、あらゆる物事を虚無と捉えるニヒリズム(虚無主義)とは違い、現実的にこの世界は苦しみそのものであるという事実を直視する思想です。仏教でおいては一切皆苦と言う。
確かにこの世は思い通りにはならない、それなのにもかかわらず人間の欲は尽きないし、求めてしまう、そんな求めることをしない練習がこの本です。
求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論 カン・ヨンス
求めることをやめて、苦痛を減らすことで幸福感を得る事ができると言う引き算の考えです。
風邪を引いた時に食べれるものが制限されて、治ったら好きなだけ食べていいよと親に言われた記憶があります。この時普段何気に口にしていた甘いおやつ、遊びたい時に外出して遊びに行ける健康状態が如何に有難い事だったか痛感する瞬間は誰でもあると思います。しかし風邪が治るとまた、当たり前のこととして戻ってしまい、また風邪を引いてしまうまでこの有り難さを忘れてしまっていませんでしたか…
一の苦痛は十の快楽と同じほどの力を持つ。 求めない練習Kindle版 P61
この本を読むとショーペンハウアーの思想は十分に学べます。特に40歳と言う年齢を迎えた人には心のあり方を学べる内容になっているし、40歳以下の年代にもこれからの警句としても大変為になる内容だ。
しかしこの本のタイトル通り、内容からは心の機微を捉え、幸福へ導かれる原理が学べる一方で肝心なのは、常にそれらを理解し、求めない練習を自身で続けなければいけないと思った。この本を読後、目から鱗な考え方が豊富で満足したが、肝心な求めないようにするメソッドは習得できていない。
対するは人間の欲である以上湧き起こる欲は一旦防ぎようがない、方法はその都度その欲があらゆる対象に求め始めたら、自身を俯瞰して欲が向かおうとする瞬間をメタ認知し眺めるしかない、これは流行りの瞑想と言う雑念に対する対処法の一つだ。
この本で求めないことの重要性は学べるが、練習の部分においては独自の解釈で綴ります
練習の為のキーワードは「負荷」と言う言葉
筋トレによる筋力をつけるには適正な負荷が欠かせないと言うこと、負荷を与えて耐える筋トレはそれなりに苦しいものです。
勉強の学習法にアクティブリコールと言う学習法がある。これは、白紙の紙に記憶した内容をテキストを見ずに、想起し(思い出す)ながら書き出す学習法です。脳には記憶を思い出すと言う負荷を与えることで、神経回路を刺激し、脳に情報を重要なものと認識させることで、記憶を長期記憶として定着させることができます。
筆者はこの負荷と言うことを欲に対しても行う必要性を感じます。本の内容は納得のいく有効的な知識にはなりうるが、欲が湧いてきたからと言って、ショーペンハウアーの思想を持ってすれば欲をあらゆる対象に求めず乗り越えられるわけではないからだ。実際に新しい物は当たり前のように欲しくなったし、相変わらず人には言わずとも理解してほしい。ただこの欲の果てを学んだからには、欲に抗う、すなわち欲に負荷をかける必要がある。大事なことはただの我慢でストレスを溜めるのではなく、欲の果てを理解したことで最終的に幸福と言う報酬が得られることを前提に行うことだと着想したまでです。常に負荷を持って欲との葛藤が不可欠であり、習慣化することで幸福を感じられるじゃないだろうかと考えます。以下の引用は少々劇薬な内容ですが、ある程度の忍耐は必要である。
仏教の教えに「一切皆苦」と言うものがある。インド哲学に大きな影響を受けたショーペンハウアーが、苦痛への対処法として提示したのは、解脱ではなく、「生まれてこなかったらよかったのに」という思いを持ちながらも、それに耐えることであった。
求めない練習Kindle版 P93
ここまでお読みいただきありがとうございます。この本の魅力が伝われば幸いです。

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