第172回芥川賞 受賞作の「ゲーテは全てを言った」著者 鈴木 結生
「ゲーテは全てを言った」を読んでみて感想を綴りたいと思います
・ゲーテはどんな人なのか
ゲーテは詩人であるが、他にも以下の様な多くの肩書きがある
- 劇作家
- 小説家
- 自然科学者
- 博学者
- 政治家
- 法律家
小説家としての代表作は「若きウェルテルの悩み」「ファウスト」が有名で耳にしたことはある方も多いだろうと思います。
・魅力ある題
この本の題を知った時はとても惹きつけられるものがありそして魅力ある題だと思いました。ゲーテは確かに全てを言ったと言えるほどあらゆる角度からの価値観についての言葉を残しています。これは「ゲーテ格言集」を読めば自然と感じることであるはずだが、とにかく格言集を初めて読んだ時は、あらゆる物事を多角的観点からの考え方に「なるほどな」と「感心」することが多く本が付箋だらけになる程だったのです。
・あらすじ
そのためか、「ゲーテは全てを言った」は確かに過言ではないのかなと思う節があるのです。そして肝心の本の内容です。 以下が簡単なあらすじ
高尚なゲーテ学者の博把 統一は一家団欒のディナーで、食後のケーキとともに妻の義子が選んできた紅茶のティー・バッグのタグに、文字が刻まれていることに気づく、そこには統一の知らない言葉が記されているが、その言葉とともに記されていたのは「Goethe」の字。ここからこの言葉を巡る統一の旅が始まる
この本はあらすじにもあるよに、言葉を巡る冒険譚となっている。
・読んだ感想と魅力
この本の魅力と言えば最もゲーテの偉大さと大衆への認知力を引き合いにゲーテならありえるだろう(言っただろう)と言うことが前提にしてあるため、ゲーテの基礎知識はあった方が良いだろう
統一本人と家族とのやりとり、統一の例える内容や言葉には教養の込められたものばかりで難しく感じる部分もあるが、話の流れには支障なく読めます。
そしてこの本には章が分かれていません、この題に始まり、この題1本で話が終わります。つまりこの章はこんな内容ですよと言った、物語に区切りがないのです。主人公の統一の日常に突如舞い込んだ、ゲーテ学者第一人者としてのプライドを揺るがす事態が発生し、疑問を抱えながらも「愛」について、「多様性」について、「学問」について「失敗」についての見識に触れながらの日常を送り物語が進みます。ここでも思いもしなかった考え方に触れることができとても勉強にもなりました。この著書はまだ若い作家であるが豊富な知識量と素晴らしい見解をもっておられると感じました。
・合わせて読むべき本
本の内容にはゲーテの代表作「ファウスト」が出てきます。ファウストはどんな内容かは知らずに読みましたが、事前に読んでいなくても問題はありませんが、作中にこんな一場面があります
手塚治虫の「ファウスト」は私にとっては最高の教科書だが、水木先生にも「ファウスト」を書いて欲しかった。
「ゲーテは言った」P68
これによって筆者は手塚治虫のファウストを知り読んでみました。
この手塚治虫の漫画ファウストを読んでとてもわかりやすい内容に描かれていました。筆者はゲーテは全てを言ったを読後にこのファウストを読みましたが、先に読むとより理解の通った読書ができるかと思います。
そして冒頭に取り上げた「ゲーテ格言集」はゲーテの考えが詰まった必読本、この本を読めば「ゲーテは全てを言った」が、共感てきるのではないかと思います。
物語の根幹はティーバックに書かれたゲーテ第一人者の知らない言葉、果たしてゲーテの言葉なのか、多くの教養と知見に向き合いながら、さて最後はどんな結末なのか楽しみに読んでみてはいかがでしょうか
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