忘却の整理学 著者外山滋比古 を読んでみたレビューです。
忘却と言う言葉はマイナスのイメージがあると思うのですが、この本では忘却を肯定し、忘却がいかに重要であるかが書かれています。
第一に著者が忘却の重要性に気付いたのは、
大学の卒業論文テーマを決める際に日頃よく勉強して知識も豊富な、優秀だと見られている人が意外に混乱し、テーマが決められない一方、普段あまり勤勉でなく、本なども読み方の足りない学生が、もちろんすべてではないが、しばしば驚くようなおもしろいテーマをつかむものである。オリジナルテーマを見つけるには記憶型人間より自由な考えのできる頭の方が優れているのではないか。傍観者としてそう考えた。これが忘却肯定のきっかけである。
著者 外山 滋比古
このきっかけの内容文からは創造的な発想を生み出す頭は知識を詰め込みすぎる頭ではないとのこと、著者曰く知識は思考の肩代わりをする、知識の量が増えれば思考は少なくてすむ、知識と思考は反比例するとのこと、この内容から共通されることで思い起こされるのが 著者ショウペンハウエル 「読書について」に書かれている内容です。
読書とは他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。1日を多読に費す勤勉な人間は次第に自分でものを考える力を失っていゆく
著者 ショウペンハウエル
本を多読する者は勤勉で知識豊富なよい頭だと思っていたが、同じく知識量と思考は反比例していることに共通している。読書はインプットにより知識は増えるが、本の内容では思考はしない、なぜならひたすらに他人(著者)の考えた考えをたどるにすぎないからだ。
このような知識と思考の反比例と言う考えから、現代の情報過多時代による知識メタボリックについて、またメンタル面から精神衛生の観点からも忘却の重要性を学べる内容が詰まった1冊です。
物忘れが多くて自信がなく、自己険悪になっている人も忘却性悪説の考えから、忘却に対する新しい価値観に触れる機会となると思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。まだお読みになられていない方への参考になれば幸いです。
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