著者オリバー・パークマンの「限りある時間の使い方」には時間を道具化と言うフレーズが良く出てくるが、意味は、将来の利益を生む為に時間を使うことである。今の時間を未来の利益の為の準備期間と捉える事になる。
これは人としてとても危険なことだ。将来の為に今の時間を犠牲にする=幸福度を得られないからだ
本書「限りある時間の使い方」にある例はとてもわかりやすい。
ロンドンの大英博物館を訪れた観光客たちが、古代エジプトの遺物ロゼッタ・ストーンを前にして、スマホの画面ばかり見ているのだ。 せっかく目の前に貴重な展示品があるというのに、みんな写真や動画を撮ることに夢中で、ろくに実物を見ようともしない。後で動画で振り返るために、現在の体験を犠牲にしている(それにしても、実際にそんな動画を見返す人がどれだけいるだろう?)。 つまり、自分が今やっていること──今まさに生きている人生──を、何かの準備に使わなければ気がすまないということだ。
こう言うことは誰しも時間の使い方について心当たりがあるだろう。時間の道具化は無意識の習慣なのだろうか。
平等時間と平等自由
現代人は多忙を極めている
日々時間に追われ時間を無駄にしない事に意識を向け、将来の為に今を犠牲にする。さてここに平等に与えられた自由は行使できているだろうか。
時間にしても時間そのものが平等に与えられたものであるのに、時間によって人は縛られ、自ら自由を失っている。
結果、我々は生まれながらにして自由だと言うことを忘れている
時間の有限性
時間を意識することの弊害
今度の休みにやりたいことをリスト化して楽しみにしていたが、肝心の休みになれば楽しみにしていたことが、なぜかやる気が出なくワクワクもしないことありませんか
それは多くの時間がある休みと言う1日にしても、時間に限りがあるからです。つまり時間は限りある資源であると言う認識です。
時間を意識するとやろうとしている事に時間を注ぐ事がもったいないと思えてくる、もっと他に有意義な事に時間を使えるのではないかと考え始める、立ち止まってしまうのです。
時間に囚われる
時間を有意義に使い、無駄にしないように考えることは大切な事だ。しかし自分の気持ちを無碍にし、やりたい事を、時間の有限性に囚われて無駄にする事では、自身の人生に価値は見出せない。
時間を軸にしない
時間を意識することは生活を送る上で大切な事である一方で、決まった時間にタスクをこなす習慣から抜け出せない状態になることもある。これは筆者の経験上時間に軸を置きすぎている。何時になれば起床してトレーニングをする、何時になれば朝食、読書、昼食、昼寝、何時から何時は自由時間といったルーティンによる習慣は自身の気持ちよりも、流れる時間軸に動かされる機械のようなものだ。そうではなく自分の気持ちを軸に動くことも大事だ
- 疲れていたらもう少し寝ていたっていい
- トレーニングは疲れていたら今日は休んでもいい
- 三食よりもやりたいことがあれば食べずにすればいい
- 腹が減ったらそのタイミングで食べたっていい
こう言う考え方は自分の気持ちに従った生き方だ、自由に時間を使うべきだ。
有限性の落とし穴
時間に限らず有限性のある資源は他にもある。それはお金である。使えば消費する限りあるものを使うことにはやはり慎重になる。使うことによって時計で時間を確認したり、通帳預金を確認し目減りしていくことをもったいないと感じてしまうと私たちの行動は制限されてしまう。
ここで自身の気持ちを抑えると幸福度は得られない。自分の気持ちに素直になる、資源は減るものであると言う認識に向き合うことが重要だ。資源の使い方も重要で、使えば必ず幸福度が増す訳でもないが、大切なことは自分の気持ちに従い、失敗も成功も経験することだ。そうすれば経験は自らの貴重な人生の価値を高めてくれる資源となる。
朝の時間活用
早起きした朝の時間はゴールデンタイムと言われている、朝の時間は睡眠後の整理されたスッキリした脳と、回復した身体、そして何より有限性のある1日の時間がまだ多くあることの安心により、物事に集中しやすいからである。この時間を活用して趣味に時間を使うことはとても有意義である。ここでは時間を道具としてではなく、自分のやりたいことをし、今得られる喜びに集中していることで幸福度の高い状態になる。
やりたいことと時間
朝活からスタートしても1日に他のやりたいことを効率よくするには時間管理はやはり必要だ、世の中時間で区切られていることばかりだ。しかし時間の有限性に慎重になりすぎると前述した危険性に囚われてしまう。
時間の道具化の2面性
時間の道具化の危険性
時間を道具化することの発端はやはり時間の有限性にある。時間には有限性があることを受け入れたくないから直視しない、まだまだ未来があると言う確固たる保証のない幻想を抱き、今よりも先の利益、とリスク回避を考えた時間の使い方が優先される。
時間の道具化の重要性
しかしこう言う考えが悪い分けではなく、学業による勉強も、仕事による労働も将来得られる知識教養と給与の為にその時を犠牲にしている。
自然災害に備えること、良い健康状態に備えることに費やす時間は決して無駄なことではないことは理解しておく必要がある。
避けたいことは常に自分のやりたいことを犠牲にして時間を使うことだ。
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