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読めば前向きになれる短編集「獣の夜」を読んでみた感想

2023年7月7日発売の著者 森絵都さんの「獣の夜」を読んでみました。心が温まる短編集が7編あり、どれも読んでいて飽きない話の展開が素晴らしかったし、前向きになれると言われている評判も良くわかりました。そこで、特に心打たれた作品を少し紹介したいと思います。

雨の中で踊る

1編目の「雨の中で踊る」と言う題の話です。
突然ですが、ヴィヴィアン・グリーンというシンガーソングライターをご存知ですか?筆者はこの話で初めて知ることになったのですが、「雨の中で踊る」ではヴィヴィアン・グリーンというシンガーソングライターの言葉がでてきます、この言葉は心に響く名言ですが、話はこの言葉がキーワード。
主人公は、上辺だけで取り繕う夫婦関係の状態にある夫で、リフレッシュ休暇最終日にフットマッサージに出掛けるところから始まります、道中に会社、妻への不満が込み上げるなか、ある人に声を掛けられ・・・

その先にヴィヴィアン・グリーンの言葉を知り心情が変化、そして新しい環境へと導かれていくストーリーです。読めばこの主人公に投影し、また共感できる人も多いのではないかと思います。日常生活でこのままでいいのか!?とか今はとりあえず現状維持でとか誰しも心で葛藤する部分に語り掛けるられる感じがしましたね、読後は前向きな気持ちになれる話です。

ポコ

6編目の「ポコ」と言う題です。ポコは犬の名前で、ポコを飼っている少年との話です。すごく短編でページ数で言うと5ページ程で終わってしまい、話の構成事態はすごくシンプルです。サラッと読み流してしまいがちかもしれませんが簡単にあなどれない話です。少年がポコを通じて体験した事柄から得た、「前向きな考え方」、あるいわ「捉え方」が斬新で感銘を受けました。「悲しみの向こう側へ抜けた」と言う表現、父、母すなわち「大人」では感じ取れない感性が少年にはある!!短い話なのにとても深い内容です、個人的に読後感じたままを言葉にすると悲しさの中の「希望」です。読後は希望がもてて嬉しい気持ちになれるでしょう。

獣の夜

獣の夜はタイトルにもなっている話です。大学時代の友人の誕生日にサプライズパーティーを仕掛けると言う内容ですが、仕掛けられる側本人をうまくコントロールできずサプライズ会場へ招くのに苦労します。話の展開は予想もつかない方向へ進み、仕掛けられる側からの思わぬ衝撃のカミングアウト、大学時代からのサークル仲間の人間関係から思わぬ事実!?が明かされます。読後はストレートに受け入れての解釈と、いや本当はこうじゃないのか!?と読み手にゆだねられているところが見事に作られています。予想外の出来事に登場人物たちの心情の表現や、やりとりがストーリー展開にハラハラを生み、リズムよく読めます。エンタメ感の多い、ユーモラスで読んでいてとても楽しめました。

明日天気に

「明日天気に」この話はファンタジー要素があり、3つ願いを叶えてくれるてるてる坊主があらわれます。主人公はその3つの願いを使うのですが、それによって「環境」をおおきく変えてしまい…

主人公はストーリーの最後に重要なことに気が付きます。読後は自分を見直すきっかけになり気持ちを切り替えようと思える内容です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。まだ読まれていない方の参考になれば幸いです。

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