スポンサーリンク

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の内容が本と社会の関係性から、読書と働く事の見直しが学べるBESTなお薦め本

2024年4月17日発売から累計発行部数15万部突破のこの本は労働と自分時間についてや、「読書」についての考えが学ぶ事ができた、筆者はすごく共感できたことと、読書と時代背景の関係から読書そのものへの考え方が見直せた機会を与えてくれた内容でした。

働きながら本が読める社会

この本の結論は働くことに全身全霊せずに半身と言う言葉を使って、労働を減らそうという著者の考えで、残りの半身は読書(趣味)に使うべきだという主張になっています。

この結論に至るまでに時代背景とその時々の本の歴史や読書法について多く調べられた内容が説明されていますが、最も重要な部分はP176の「読書とはノイズである」で書かれるノイズと言う言葉です。

本書におけるノイズとは歴史や他作品の文脈・想定していない展開

ノイズなしの読書が自己啓発本

書店に行くとコーナー化されている程の自己啓発本はとても人気がある。この人気の裏には社会的背景があることが本書を順に読めばよく理解できるが、現代社会は自己実現を果たすべく、また仕事にやりがいを求めること、没頭することに全身全霊を尽くす、さらにはこの全身全霊を称賛されるという文化が浸透してしまっている。

そしてこの全身全霊の合間にできる読書とは最もノイズなしの読書となってしまうのです。
コスパやタイパ、人間関係、コミュ力についての仕事でパフォーマンスとして生かせる最短の情報のみが得られる読書法が現代社会の読書となっているのです。筆者も無意識のうちにこの自己啓発書の読書への偏りが小説との対比8:2となっているのが現状です。

確かに小説やエッセイには明日の仕事に役に立つ内容がすぐには得られない、読み進めることで役に立つ内容に辿り着くかもしれないし、なんの収穫もないままかもしれない。今の問題から解放される解決策があるような情報を持つタイトルの自己啓発本に身を委ね続けていることは、本書の著者の考えがこの本になって世に出なければ気づかなかったかもしれない、現代の時代背景に沿った読書法に流されたままだったかもしれない。

改めて読書ができない社会はおかしいと共感を得た内容でした

自己啓発本は社会との切り離し効果

自己啓発本の特徴とは

自己のコントローラブルな行動の変革を促すことにある。つまり他人や社会といったアンコントローラブルなものは捨て置き、自分の行動というコントローラブルなものの変革に注力することによって、自分の人生を変革する。それが自己啓発書のロジックである。

筆者は自己啓発書を読むことは社会的労働行為の延長線上で努力義務と言う認識が強かったが、このロジックの解説からは、他人や社会といったアンコントローラブルなものは捨て置きとされている。

このことから、労働行為の延長というよりも、むしろアンコントローラブルな社会を遠ざける、社会との距離の切り離しを行っていたと言うことに驚いた、さらにこうも表現されている。

自己啓発書は「ノイズを除去する」姿勢を重視している。

読書がノイズ化する

2000年代以降の社会的時代背景は新自由主義が広がってきたことにより国家規制は緩和され、企業間の競争は激しくなっている(資本主義論理)

新自由主義とは

国家の福祉・公共サービスが縮小され、規制緩和されるとともに、市場原理が重要視される社会のこと

この様な労働環境の中で働いていると、いかに市場に適合できるかを求められる。不安定な雇用のなかで成果を出すこと、人間関係を円滑に保ちながら市場に適合することが現代の労働に求められる姿勢である。

この背景から読書のノイズ化を以下の様に書かれている

ノイズを除去する姿勢を重視する自己啓発書に対して、文芸書や人文書といった社会や感情について語る書籍はむしろ人々にノイズを提示する作用を持っている。
 知らなかったことを知ることは、世界のアンコントローラブルなものを知る、人生のノイズそのものだからだ。
本を読むことは、働くことの、ノイズになる。

半身について

自己啓発書による読書に偏りのある筆者も、小説やエッセイを含めて読書がしたいと思う。本書を通じて自己の意思で自己啓発書を読んでいた部分と、時代による社会的背景によって読まざるを得ない状況にあったことに気づけた。自己啓発書を絶えず読む習慣が多い程、ノイズを除去する必要がある状況に置かれていると言うことになる。

著者がいう半身は理想的だと思う。休日や合間にノイズを除去しなければならないという読書より、半身労働にすることで読書(趣味)がノイズ化しない様にするこも現代社会の欠点として労働を見直すべきだと思った。

半身労働の実現は一人一人の一歩ずつの行動が要だ。心理学者アドラーの言葉を引用すれば

誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。「あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」

嫌われる勇気 ここに存在しているだけで価値がある

本書を読んで共感できる人も増え、半身労働始めるべきだと思ったあなたが行動すれば新しい時代背景社会に生まれ変わって行くかもしれない。

コメント